パリス(Paris)流エッセイOPEN 06:00~CLOSE 24:00

born in Kanazawa and dies in Kanazawa

  
   

加賀五彩

   

加賀友禅は、加賀五彩とよばれる、臙脂、藍、黄土、草、古代紫の五色で構成され、沈んだ色調が特徴です。次の金沢市のプロモーションムービー「COLOR THEORY FOR kANAZAWA」から、その五彩の美しさとそこに流れる金沢の風をどうぞ!

時を刻む

齢を重ねると、月日の流れの速さに驚かされます。桜花が散って
日夜汗ばみ、夕陽の落つるを数えて新しき日の出を待つ。日々は
記憶に留まらず、生きている証が定まらない。息をするのももど
かしくなれば、未だ知らぬ次の世を想う。人の一生は余りにも短
く、若かりし頃の思い上がりもこだわりも、この齢になり、よう
やく身に付き始めた理性らしきものも、時と共に消えて行く。

人はこの世に生を得た時から、死への道の中に身を置きます。いくら寿命が延びたといっても、その先には老いぼれた心と姿があり、骸を晒します。大往生を持ち出したところで、この大自然から見れば微たるもので、刹那にも値しません。仏教でいうところの、劫(下記の [注]を参照)とはいわないまでも、せめて喜怒哀楽を充分に味わえる寿命があったなら。

人はその短い一生に自由を求めます。そこに自らが生きている証を造ろうとするからです。しかし自由は、時に支配された小さなものでしかありません。そしてそこに組み込まれた人は、その小さな自由を何のためらいもなく、受け入れようとします。

時から放たれると、そこには完全な自由がありますが、人は敢えてそれを手にすることを、望もうとはしません。時を刻む。大自然が人に与えたこの刑罰に、人は服従します。人は試されているのかも知れません。この大自然の中に生かされている人が、何を考え何を行うか、そこに無しかなければ、時を進め、有を待つ。人はそれを知らずに生きて行きます。

[注]劫とは極めて長い時間のこと。

①百六十km四方の城に芥子粒を満たし、三年に一度それを一つずつ取り出し取り尽す時間。
②百六十km四方の大石に、天女が三年に一度降りて来て、衣で触れて、その大石を磨滅し尽くす時間。

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