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Paris way essay collection


社会人になるまでに学びたい八正道


  『男は、少年の頃、知らないことは知らないと言った。男は、青年
  の頃、知らないことでも知っていると言った。男は、壮年の頃、知
  っていても知らないと言った。男が老年となった今、口を開くこと
  はなかった』

このサイトの冒頭で、「嫌われても迎合しない生き方が正しい生き方とは限らない」と記したのですが、これは、無学、無知による独善的なこれまでの生き方をしてきた私自身への戒めとして記したもので、他の人の生き方を批判するものではありません。

人は誰しも、後ろ指を指されぬような生き方をしたいと思っています。これすなわち、正しい生き方をしたいということなのですが、正しい生き方が、どういったことをいうのか分からなければ、正しい生き方を送ることは出来ません。人は生まれてから、自分自ら、あるいは他の人から学び、成長し
て行くのですが、そこから学んだことを整理し、取捨選択し、修正しながら、自らの生き方を決めて行きます。しかしながら、人の心は脆くうつろい易く、真を見ず、真に気付かず、偽を真と見誤ることには限りがありません。そこで、いち早くそのことに気付くことが、正しい生き方を送る上で、最も重要なことになり、そのことを真っ先に覚える努力をしなければなりません。

ブッダの教えによりますと、人には避けることの出来ない8つの苦しみがあり、「生・老・病・死」の四苦に加え、社会生活上の4つの苦しみ(注)があることから、自身をコントロールして苦しみの原因を取り除き、覚りを開くための実践方法として、8つの正しい生き方「八正道(はっしょうどう)をあげています。すなわち、

正見(しょうけん)     偏見や固定観念に執着せず、縁起の理を見極める。
正思惟(しょうしい)    真実をありのままに伝える
正語(しょうご)      うそ、悪口、間違ったこと、飾った言葉などを言わない。
正業(しょうごう)     無益な殺生や盗み、よこしまなことを避け、正しい行為をする。
正命(しょうみょう)    善行に努め、悪行をしない規則正しい生活を送る。
正精神(しょうしょうじん) 覚りに向かって、怠ることなくかたよりのない努力をする。
正念(しょうねん)     自分自身の身体やまわりの物事について正しい知識を心にとどめ忘れない。
正定(しょうじょう)    一挙手一投足の動きにつねに心を集中し、平静に行動する。

の八つをいうのですが、覚りを得るなどと仰々しく考えず、記してあることを素直に受け止めれば良いのではないかと思います。もちろん、社会の中で一人で生きているわけではありませんから、これらを実践しょうとしても、簡単ではないことはいうまでもありません。しかし、言わなくてもよいことを言ったり、しなくてもよいことをしたり、こういったことが一つでも少なくなれば、心安らぐ生き方に一歩近づいたことになります。

信教は個々人の自由です。どんな宗教を信じようが、宗教そのものに関心を持たぬのも自由です。また、ブッダについて抵抗がある人もいるでしょう。ただ、人生とは学びの世界です。学びがなければ、人生はつまらぬものになってしまいます。学んだことを自分の生き方に活かすところに、人生に楽しさを感じ、生きている喜びが生まれて来ます。


(注)社会生活上の四つの苦しみとは、次の四つをいいます。

愛別離苦(あいべつりく)  愛するものと死別し生き別れしなければならない  
怨憎会苦(おんぞうえく)  会いたくない人とでも会わなければならない
求不得苦(ぐふとっく)   求めても満たされない
五蘊盛苦(ごうんじょうく) 自分の意志に反して身心が思い通りにならない