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Paris way essay collection


巷の流行(はやり)に踊る


どんな人が編み出すのか知りませんが、巷には、はやり(以下流行)というものがあり、 その価値らしきものをどう捉えるかは人様々なのですが、一見すると何の価値も無いようなものに、何のためらいもなく即座に反応してしまう人がいます。

カメラを向けると反射的にVサインを作る流行は、一時期に比べれば勢いを失いつつ あるように見えますが、いい歳をしたオッサンと子供が、「ガンバルゾ、オー」と拳を上げる流行は、未だに健在なようで、テレビでもよく見かけます。 最近の流行といえば、ハイタッチでしょうか。スポーツ界ではよく見る光景ですが、 まあそれをする動機があるにせよ、日頃はキモイと白眼視している見ず知らずのオッ サンと、嬉々としてハイタッチしているお嬢さんのいい加減さには呆れてしまいます。

世の中には、流行に乗りたい人と乗りたくない人がいるわけですが、これはこういう人がと、簡単に線引き出来るものではないと思いますが、敢えてあげると、流行に乗 りたい人は、とにかく目立ちたいと思っている人か、あるいは、ぼっちになりたくな いと思っている人に多いのではないかと思います。
本来は、自分の個性をアピールすることが大切なのですが、あまり突出したくないと か、ほどほどに目立っていれば良い、と考えているのなら、こういったレベルの流行に乗り易さを覚えるのかもしれません。
ちなみに私は、個性を重視し、人との違いをより明らかにしようとするタイプですから、これ等の流行には全く関心はありませんし、それゆえ、乗ったことは一度もあり ません。

そう言えば、街中で「可愛い、可愛い」を連発しまくる女性たちのグループを見掛けることがあります。まるで、可愛いものに飢えているかのようで、目に見えるものを手当たり次第に、「可愛い」と言っているように見えます。
そんな彼女たちをそれとなく眺めていますと、面白いことに気付きました。 グルーブにはリーダー格がいて、その人の「可愛い」の発言がグループの空気を支配 しているのです。もうちょっと分かりやすい構図で言いますと、ワガママなお姫様と お付きの腰元たちといったイメージでしょうか。「これ可愛い」と姫が言うと、「(そ うですね姫様)可愛い(ですね)」といった感じで、これはあのJRAのテレビCMと大変よく似ております。CMでは、高畑充希さんや土屋太鳳さんが、「ねえ見て見て」 とうざいほどの見て見て攻撃を繰り出します。もちろんこれはあくまで演出上のことなので、彼女たちを誤解しないようにお願いしますね。

流行は流行に乗った人たちのお陰ということになるのですが、現代人は飽き性で、次々と新しい流行に関心を移して行きます。一歩目で現れ、二歩目で賑わい、三歩目で消える。このスピードこそが流行の流行たる所以で、流れが止まればそれはもはや流行とは呼びません。
この世に永遠の流行があるかどうか知りませんが、もしあるとしたら、それは巷の中に しっかりと根付き、すでに常識という名に姿を変えているため気付かないのかも知れません。