dancelip.com

ダンスリップドットコム

Paris way essay collection


マスクがみつる風景


新型コロナウイルスの終息を口にする人はいない。感染症の専門家たちの誰一人として、言及するに至っていないから、もしかしたらWithコロナが未来 永劫続いて行くのかも知れない。日頃マスコミは感染者数ばかりに目を向けさせようとしているが、WHOは未だにこの新型コロナウイルスの発生源につい て明確にしていない。コロナウイルスの治療薬の開発は急務であるが、感染源が不明のままでは大きな苦痛をいつまでも抱えているということになる。

この新型コロナウイルスの感染力は凄まじく、様々な場所や環境の下で、「クラスター」と呼ばれるウイルス拡散現象が発生し、接触した人が次々と 感染して行くのだが、感染者の症状は一様ではなく、PCR検査の結果が例え陽性であっても、何ら明確な症状が現れず殆ど自覚出来ずにいる人もい る。このことが感染拡大のポイントとなっているのではあるまいか。例えが悪いが、高熱がずっと続き、倦怠感にさいなまれ何をする気力も失せる。激しい嘔 吐や下痢が続き身体が一気に衰弱していく、などの症状が誰にでも出現するのなら、コロナウイルスに対しての恐怖心から感染予防に対しての意識も違 ったものになっていたであろう。

今社会においては、「不要不急の外出は控えて!」と毎日、耳にタコが出来るほど喧伝されているし、「三蜜」の語も社会の隅々にまで定着し、児童レ ベルでも口にする状況であるから、日常生活にはストレスが満ち、「何かをして発散したい」という気持ちに駆られるのは当然のことである。もちろんその時に も感染予防対策は意識しているのだが、どうしてもストレス発散の方に気持ちが行ってしまい、いつもと違ったイレギュラーな状態になっても気付かない。そ してそれから二週間ほどが経ち、いままで経験しなかった身体の変調におののき、顔が青ざめてくるのであった。

さて今やマスクは日常生活をする上で欠かせぬ必需品となり、殆どの人は外出時や人と接する機会にはマスクを装着し、感染するまい感染させまいとして いる。一部の国では、外出時のマスク着用を義務化し、着用をしていない人には罰金を科すとしたため、その国の国民からは個人の自由の侵害だとの声 が上がり、日本人との感覚の違いを露わにしたが、日本と諸外国ではマスク文化が根底から違っており、そもそも、日頃は医療従事者以外はマスクを着け ないという社会だったのであるから、慣れてもいないマスクの着用に息苦しさを覚えるのだろう。日本では感染防止は無論のこと、感染させないという観念が 根底にあるから、個人の自由うんぬんとはならないのである。まあ、他国のことであるから、自由を選択しようと感染を選択しようと好きにすればよい。

もちろんマスクもただ着けていれば良いというものではなく、マスク選びに失敗している人を大勢見掛ける。簡単に言えば、顔にフィットしているかなのだが、 フィットとは顔の骨格に合ってウイルスを遮断しているか、顔の動き、特に会話をする時にマスクがズレないか、そのズレによってマスクをいつも手で掴み直し ている人も多い。また、鼻出しマスクや顎掛けマスクはマスクそのものを拒否している形であり、しかも街中を堂々と闊歩する様には恐怖すら覚える。

まあ手作りマスクも当たり前の世の中であるから、どんなデザインであろうとも、どんな素材であろうとも、どんなカラーであろうとも自由であるが、あの黒色の マスクだけは汚さが最初に来てしまう。白のマスクであれば、汚れが目立ち着け替えようとはするが、黒いマスクであればその汚れ具合が黒色の中に溶け 込む。いうならば、自分を無精者と宣言しているようなものだ。そもそも、日本ではマスク=白というのが定番だったのが、いつのまにやら、コロナが流行し 始める前から、一部の若者がこの黒色マスクを着け始めていた。まあ、誰かの真似をして恰好をつけたかったのかも知れないが、マスクの基本は清潔感 であることを忘れてはならない。